Title: AM-Double Pylon Stainless __Campagnolo Record 10speed (Steel-Gray)
車種:Alex Moulton_AM
Date:2007年7月
No.022
Q1. この自転車を選んだきっかけ&決め手は?
機能に走った形ではなく、見た目にも美しいデザイン。インターネット上で写真が公開されたのを見てこれだ!と思いました。
Q2.またこの色を選んだ決め手は?
ステンレスのフレームを邪魔しない色であることが第一条件でした。次に昔からの夢だったカンパニョロ レコードのカーボンにも合う色ということで店長と相談させていただきました。
Q3.この自転車の一番お気に入りの部分
ステンレスフレームおよび溶接のロウの味わい。きわめて立体的なデザインでありながら、乗った際に邪魔にならないという高い次元での融合が非常に気に入っています。
Q4.所有されている車種との違いや使い分けなど
AM-18は泥除けもついているので、普段乗りに使っています。車で移動し、サイクリングの際はANTもしくはBD-1を。チョイのりにはトレンクルを使用しています。ダブルパイロンは、停止することなく乗り続ける中距離サイクリングに使用しています。
Q5.カスタムの楽しさとは。
世界で唯一のものを作り上げられる楽しみがなんといっても醍醐味だと思います。
また、機械が機械以上の存在になるように感じ、非常に愛着が湧いてきます。
Q6.普段の使い方や、この自転車に乗ってから変化したこと、ちょっとした出来事や、おもしろ話など。
この自転車を手に入れてから、自転車を眺めるという新しい日常の行事が増えた ような気がします。
今回のMoku《改》は、AM-ダブルパイロン(ステンレス)の事例をご紹介します。
発表当初のダブルパイロンのラインアップは、カイセイ製クロモリチューブのみでしたが、
カイセイチューブの材料不足が原因で、本格生産が延期され、
ステンレス製(分割型)のダブルパイロンが先に生産されることになりました。
そのため納車までにかなりお待ちいただいた自転車です。
ダブルパイロンは、シマノのコンポーネント専用にフレームが設計されていますが、
ステンレスモールトンとカンパニョーロの組み合わで仕上げたいと以前から思われていたので、
展示会などで発表される前から「カンパニョーロの2007年モデルで」とのご要望をいただきました。
そのためフレームが到着する前に、パーツの設計&加工に入りました。
今回ご紹介させていただいた事例も、コンポーネント以外は、ほぼお任せいただきましたが、
サドルやバーテープ、チェーンリングなど、セレクトによってイメージが変わるパーツについては、
パーツが組み上がった時点で、いくつかの組み合わせをe-mailを使ってご提案させていただきました。
お忙しい中、その都度ご確認いただき、完成させることができたモールトンです。
その詳細をこれからご紹介させていただきます。
1)[Campagnolo]RECORDのカーボンモノコック製クランクセット。
2)既製品のフロントディレイラーが装着できない特殊な構造になっているDouble-Pylon。専用のフロントディレイラーがフレームキットに付属されていますが、Shimanoに合わせて設計されているため、RECORDを装着できるように、ディレイラーを分解し、一部パーツをワンオフで製作しました。
(左:Double-Pylon純正 / 右:新たにアダプターを製作したフロントディレイラー)
3)今回装着するフロントディレイラー一式。
4)RECORDリアハブ。'07モデルのカラーは、前後ともにブラックのみ。
5)フロントフォークもDouble-Pylon専用設計のため、フロントハブは英国製[HOPE]のAM特注品。これもフレームキットに付属されています。HOPEのフロントハブはシルバーですが、RECORD'07のリアハブに合わせて、ブラックアルマイトを施しました。(左:アルマイト加工後 / 右:純正HOPE)
6)HOPEハブベアリングをより向上させるために、日本製のベアリングに交換。回りが格段にアップします。(左:日本製ベアリング/右:HOPE純正ベアリング)
7)リアハブに合わせてアルマイトを施し、ベアリングも向上したフロントハブ。
8)Double-Pylonのヘッドセットは、SHIMANO DURA-ACEをベースに設計されています。DURA-ACE純正アルミのシルバーをステンレスパイプに合わせて、チタンカラーに加工しました。
9)ドロップハンドルも、その他の部品に合わせて、チタンカラーに加工しました。
10)純正ウィッシュボーンのステムポスト。ヘッドセット、ハンドルに合わせて、アルミのシルバーをチタンカラーに加工します。
11)チタンカラーに加工したステムポスト。細かい部分ですが、トータルで合わせると、より高級感が増します。
12)ハンドルステム全体の画像。
13)Double-Pylonと言えば、このヘッドチューブ。ヘッドチューブまでもがトラス構造をしている驚きの設計。まさに現段階でのモールトン最高傑作です。
14)ヘッドチューブだけの状態で見るとわかりますが、ヘッドセットのワンがフレームと一体になっています。ここからメインフレームのパイプへと繋がっているわけですが、何本もの極細のステンレスパイプで構成されています。この高度な技術が、所狭しとDouble-Pylonには施されています。
15)ヘッドセットを分解した状態。ここから精度を上げて装着します。
16)フロントサスペンションを固定させるロック機構が、ハンドルポストの付け根に設計されています。ラバーのボールを、ロックシステムにはめ込むとサスペンションが固定されます。手元で操作できるため、今までと比べ操作性も上がっています。登りに差し掛かる前などに使用すると効果的。
17)サスペンションロック機構を分解して、精度が悪い部分のネジを切り直します。
18)Double-Pylonのロックリングは、ひし型のステンレス製。
21)一部カーボン素材を採用しているRECORDのリアディレイラーと、オールチタン製のカセットスプロケット。
22)[BROOKS]Swallow Classic。1937年に初めて製造された現代レーシングサドルの父とも言えるモデルを再現。丁寧ななめしと、スマートなデザインはモールトンにぴったりです。
23)製造が終了してしまった[MKS]プロムナードEzy-チタンシャフト。わずかに覗く繊細なチタン製のシャフトが粋です。
19)ブレーキとシフトレバーが一体になっているカーボン製[Campagnolo]RECORDのエルゴパワー。
20)肉抜きが美しいRECORD'07シリーズのキャリパーブレーキ。
■ Owner's Voice ■
●メインコンポーネント:Campagnolo_RECORD 10speed '07
●フロントハブ:Double Pylon_HOPE<改>
●ハンドル:NITTO<改>チタンカラー
●サドル:Brooks_Swallow
●バーテープ:Brooks_レザーバーテープ
●ペダル:MKS_プロムナードペダル(チタンシャフト)
■ Spec ■